今週水曜日、予告編を観て「これは絶対観たい!」と期待していたある日本映画を観に行ったんだけど、これがまったくの期待はずれ…。“どんな駄作といわれる映画でもどこかしら共感出来るところがあるもの”と、いつもポジティブな映画の見方をする私なのですが、珍しくこの作品には「お金と時間返して〜!」と思っちゃいました。レディースDAYで1000円で観てもこうなんだから、1800円払った人はもっと腹立つかもなぁ…。
今週はその映画の事を書こうと予定してたんだけど、つまらなかった映画にわざわざページを割いてこき下ろしても意味ないよなぁ〜と思ってヤメました。ワインのソムリエが美味しいワインだけをお勧めするように、自称“映画ソムリエ”としては酷評するより楽しい一本をお勧めしたいですもんね。
でなワケで、今週はまたチと古い作品だけど、私の大大大…(あと10個くらい大を書きたいほど)大〜好きな映画、『恋人たちの予感』(1989年/米)を書かせてもらいま〜す! わ〜い! 実はこの日を待ち望んでいたのじゃ〜!
初対面でお互いに“気に食わない奴”という最悪の第一印象を持ったハリー(ビリー・クリスタル)とサリー(メグ・ライアン)が、何でも話し合える友達になり、そして11年という歳月をかけて“この人こそ自分にとってかけがえのない運命の相手なんだ”と気づくまでを、おもしろ可笑しく、時に切なく描き出した究極の大人のラブストーリー。
大人になればなるほど恋愛に臆病になってしまい、素直になれなかったり、自分の心の中が見えなくなったり…。皆さんもそんなことないですか? ハリーとサリーもたくさんの恋愛に傷ついてきた大人だからこそ“友情を壊すまい”“絶対に失いたくない大事な相手だからこそ踏み込むまい”という思いが邪魔をして、自分たちのホントの気持ちになかなか気づかない。そんな不器用なハリーとサリーの恋愛は滑稽で、観ていてホントにもどかしい。でも、それだけにラストでハリーがサリーにぶつける飾り気のないストーレートな言葉にズキューンと胸を打ち抜かれちゃいます。こんな言葉を聞いたら「好きだ」とか「愛してる」なんてありきたりな言葉は色あせちゃうナ。ラストは何度観ても涙、涙です。
この映画の見どころは一つはため息が出るほど美しいNYの景色。NYを舞台にした作品は数あれど、これほどNYの四季を綺麗に切り取った映画はこれ以前にも以降にも観たことありません。私が特に好きなのはハリーとサリーがオレンジ色に染まる秋のセントラルパークを歩くシーンと、真っ白な雪の中をクリスマス用のツリーを運ぶシーン。ハリー・コニック・Jrの優しいジャズナンバーと重なって今も心に焼き付いてます。
もう一つの見どころは何といってもメグ・ライアン美しさ…。大好きな女優さんなので出演作品はほとんど観てるけど、やはりこの作品のメグがダントツ1番!“可愛い”とか“キレイ”とか“キュート”なんて普通の言葉じゃ語れないほどこの映画のメグは輝いてます! きっと役者としても女性としてもノリにノッていた時(頂点)だったんですね。
そしてそしてもう一つ、『恋人たちの予感オタク』の私が、皆さんに是非注目して観てもらいたいのが、二人が友達として美術館でデートしている時に、ハリーが落ち込んでるサリーを元気づけようと変テコな声で早口言葉を言ってサリーに真似をさせるシーンです。普通に観てても微笑ましくて可笑しいシーンなんですが、撮影の裏話を知ったらもっと笑えちゃうんですよ。実は私も特典映像の監督の解説を観て知ったんだけど、この早口言葉のシーンが全部ビリー・クリスタルのアドリブらしいのです。さすがサタデー・ナイト・ライブ出身のビリー・クリスタルだけあって、早口言葉もかなり高度。どんどん早く長くなっていくアドリブの早口言葉に、女優根性で負けじとついていくメグ・ライアン。でも、しまいにはどこまでもエスカレートして止まらないビリーにちょっと困ったように監督に目をやるメグがカットされずにそのまま映し出されているんです(笑)。映画の中のハリーとサリーに、ビリーとメグの素顔が混じっちゃう不思議なシーンです。撮影がノッてきてスタッフや共演者同士の息も合ってきた時にアドリブなどが出て、監督もストップをかけずにカメラを回し続けたりすることはよくありますが、それが思わぬ名シーンを作り出した最たる一例。役者の素顔が混じってもまったく違和感がないのは、もしかしたらビリー・クリスタルとメグ・ライアンはこの時、本当に恋をしてたんじゃないかな…なんて勝手に勘ぐってる私です。
大好きな映画の話をすると、思い入れが強過ぎるせいか、いつもしっちゃかめっちゃかになっちゃう私。あぁ、今夜もまたやってしまった…。ソムリエが酔っぱらってどうするんだぁ〜! また出直します。
なにはともあれ、まだ観てない方はいっぺんご覧になって下さいまし。