なんでやねん! なんでこんな時に歌ってんねん! なんでこんな場所で銃撃戦を…? なんでこんな時にHなんか…? なんで…?なんで……?
まさに最初から最期まで「なんでやね〜ん!」のラッシュアワー!
But!! この部類の映画に深いものを求めてはいけません。最初から「ドタバタエンターテイメントを観に行くんだ」と肝に命じ、その徹底したお気楽さ加減を笑いに行くのが醍醐味なのです。感動大作が好きで、映画からいつもインスパイアされること望んでいた以前の私なら、絶対に腹がたってただろうナ。でも最近の私は自分でも驚くほど変わった。平日の空いた劇場でコーヒーを飲みながら、こういったお気楽映画をな〜んも考えずにヘラヘラ笑って観るのって、「な〜んか幸せだなぁ〜」って感じるんですよねぇ。疲れてるんかな? 以前はセリフ一つ絶対に聞き逃したくなかったから、トイレ中座はもちろん、一緒に観に行った彼氏がスクリーンを前に居眠りなんかしようものなら、「こんな脳天気なヤツ、ソク別れたる〜!」なんて考えたものですが、この映画の中盤、私ちょっとウトウトしちゃったりして…。でもStoryにのり遅れること無く、続きをまたヘラヘラ楽しめる!
そんなウトウトを許してくれる軽〜い映画もアリなんだ!と最近思えるようになってきたのです。まあ、“レディースDayで1000円だから楽しい映画”とも言えますが…。
そんなワケで『ラッシュアワー3』、Storyがむちゃくちゃだの、ジャッキーが歳でアクションが物足りない(私は53歳か54歳であのスタントは凄いと思いますが…)だの、クリス・タッカーが喋り過ぎでうるさいだの、厳しい目線で酷評するのは野暮ってもんです。あえて面白かったとこだけ書きたいと思います。
まずはこの作品、舞台がアメリカ(L.A)からフランス(パリ)と全然違った空気を楽しめる他、言葉も英語、フランス語、中国語、日本語、と国際色ゆたか。言葉のすれ違いで笑わせてくれるところが多かった。
道場にいた中国人の“ユー”や“ミー”という名前に、カーター(クリス・タッカー)が「YouがMe?」「MeはYou?」と、頭がこんがらがってしまう場面はかなり笑えました。中国人なのに何故かフランス語しか喋れない殺し屋を捕まえて親分のことを聞き出すシーンも可笑しかった。フランス語の通訳を頼まれたのがたまたまそこに居たおばあちゃんのシスターで、殺し屋の口から次々に出る下品な言葉を真面目な顔で訳をしてる時の空気が何ともいえず面白かったです。観客の外人さんたちは大爆笑してたから、英語が分かったらもっと面白いようです。
あと悪役の真田広之がすごいカッコ良かった! 主役のジャッキーやクリスが完全に霞んでしまった感じ。 さすがジャパンアクションクラブ出身だけあって、派手なアクションも、刀を使った殺陣もキレが良くて動きが綺麗! リー刑事(ジャッキー)との兄弟の確執の脚本の描き方が浅かったのを、真田さんの表情がカバーしてました。英語も予想以上に自然で上手かったし、これから渡辺謙さん以上にハリウッドで活躍するかも…と思いました。それに比べて、ジャッキーの日本語は超笑えた。これもジャッキーだからこその愛嬌、愛嬌! 女殺し屋役で度々登場する工藤夕貴ちゃんも変テコなメイクで、あんたナニ人やねん! と思わず突っ込みましたが、綺麗に映ることを完全に諦めた吹っ切れた演技(アクション)がなかなか良かったです。脇役ながら日本人がハリウッドで頑張ってる姿は嬉しいですね。同じタレントとして本当にえらいなぁ〜と思います。
あと、脇で出てくるフランス人のタクシードライバーのキャラクターが最高! ええ味出し過ぎやでぇ! 続編があったらリーとカーターとコンビを組んで3人で事件を解決してほしい…と思っちゃった。
見どころは何といってもアクションの数々でしょう! 特に最期のエッフェル塔の上でのジャッキーと真田さんの兄弟対決は凄い! いったいどうやって撮ってるのカナ? アクションシーンなのにウットリするほど綺麗なのも印象的でした。パリの街で繰り広げる派手なカーアクションも見モノ!
1800円の価値があるかどうかは?ですが、仕事や家庭のことで最近心が疲れているナと感じている人…、な〜んも考えずにコーヒー片手にヘラヘラ…というのも時にはいいもんですよ!