日本でのヒットはもちろん、韓国でも30万部を売り上げた鈴木由美子さんのコミック『カンナさん大成功です!』が韓国で映画化され、あの『猟奇的な彼女』『僕の彼女を紹介します』を越えて韓国No.1の大ヒットを記録! 06年度の大鐘賞(韓国のいわば、“アカデミー賞”)で12部門での最多ノミネートという快挙を成し遂げました。そんな大ヒットラブコメ映画『カンナさん大成功です!』が、いよいよ12月15日に日本で公開になります。さっそく試写会で観てきましたよ!
『男にとって、女は3種類しかない。
綺麗な女はブランド品。
普通の女は既製品。
あなたは“返品”よ!』
仲の良い親友にさえ、こんなヒドい言葉を言われてしまうカンナは体重95Kgの大巨漢。抜群の歌唱力を持ちながら、自分の容姿に自信を持てないことから、人気歌手のゴーストシンガーという陽の当たらない役目に甘んじている。恋焦がれているイケメンプロデューサーのサンジュンに対しても、もちろん意思表示できるワケはなく、ただ遠くから見つめているだけ…。
そんな裏方街道まっしぐらのカンナが、ある日偶然に聞いてしまった憧れのサンジュンの陰口…『カンナには才能はあっても美貌はない! 憐れんで放っておけばいい』。絶望の渕を彷徨った果てに、カンナが決意したのはナント全身整形! 過去と脂肪を捨て、カンナはスターの座と愛を手に入れられるのか?! というStory。
このあらすじを聞いただけで女性なら絶対観に行きたくなるでしょ? カンナがどれだけ綺麗に変われるのか? 散々バカにしてコケにした人たちをギャフン!と言わせられるのか?って。そんなスカッと笑える復讐劇を期待していた私でしたが、この映画はもっともっと深い、すごく切ないラブストーリーに仕上がっていました。ラスト15分ではまわりの女性の観客のほとんどが鼻をズルズルさせておられましたよ。何故か…私は泣けなかったんだけど…。カンナちゃんには共感したけど、まわりの人間の態度が腑に落ちなかったのカナ。すごく切なくて女ゴコロが胸に痛かったんだけど、なんか悔しかった。
整形に関しては大賛成とは言わないまでも賛成〜! テレビ番組の『ビューティコロシアム』なんかよく観るけど、自分に自信が持てなくて辛い思いばかりして泣き続けていた女の人たちが、見違えるほどキレイになって、本当に嬉しそうにキラキラした笑顔を見せるのを見ていると、「良かったよなぁ〜」とこっちまで笑顔になってくる。「私だってやりたい!」「変われるかな?」って思っちゃう。おしりと太ももの脂肪吸引に、顔をもっと小顔にしたい。でっぷりした鼻のお肉も取って外人さんみたいに鼻先をツンとアップさせたいナ。最近めっきり自己主張が激しくなってきた目尻のシワもやっつけたい! いったいナンボかかるねん! 金額もさることながら、元来、ピアスも開けられない怖がりだからして、到底出来そうもないんだけどね…。でもね、でもなのだ! もしも私だったら、整形で超キレイになっても、その途端に手のひらを返したように寄ってくる男なんて、こっちからバッサバッサとフってやる! 見かけだけに左右される男なんていらんわい!やっぱり男も女も味よね。整形はあくまでも自分に自信を持ってイキイキ生きるための飾り付けでしかないと思います。そういう意味ではこの映画の中でカンナが誰もが羨む美貌を手に入れながらも、いつも心に“ひっかかり”を持ち、念願だったスポットライトの当たる場所に大ばく進していかないところがリアルで共感できました。
見どころはナンといってもカンナ役のキム・アジュンの可愛さ。ちょっとビビアン・スー似でホントにキュートです。身長170cm、48Kgとプロポーションも抜群なので、映画の中で着こなすファッションも見もの。彼女はこれがスクリーンデビューで、本作の大ヒットで一気にスターダムを駆け上がりました。監督のカンナ役を選ぶ時の絶対の条件に“整形をしていないこと”というのがあったそうです(笑)。韓国でこの条件をクリアする女優さんは少ないみたいですねぇ(再・笑)。監督の狙いどおり、本当に整形美人らしからぬ、自然体の美しさでした。
そしてもう1つ驚いたのは、サンジュン役のチュ・ジンモ。こんな男前な韓流スターがいたとは知らなんだ! キムタクとそっくり! いや、キムタクよりも断然ハンサム!
今回の役ではベクトルがどっちに向いてるのかよく分からん曖昧な男をやっていたけど、実際の彼はこれだけの容姿を持ちながら“典型的な二枚目俳優”の道を選ばず、地味な作品を選んで出演してきた“こだわり派”らしい。それゆえ知名度もイマイチだったらしいんだけど、彼も本作への出演で一気にスターになったのだそうです。日本でもこれからブレイクするかも…?
整形前のカンナのおデブ特殊メイクもみどころの1つ。ハリウッドの特殊メイクチームが参加したというだけあって、どんなに目を凝らしてもあの可愛いキム・アジュンがやってるとは思えない。夏の暑い時期に毎日4時間かけて特殊メイクをし、撮影後、1時間かけて、そのメイクを落としたといいます。大変だったでしょうねぇ。
残念なのは、ラブコメといいながらギャグが全部すべってたところ。笑うべきなんであろうところでまったく笑えませんでした。試写会場シ〜ン…。さむ〜。笑いの感覚が日本人とちょっと違うというのカナ…正直言って笑いの感覚が古すぎる気がしました。監督さんゴメンなさい…。みなさん、コメディ部分には期待しないで、是非とも主演二人の美しさにうっとりし、切ないラブストーリーに涙しに行きましょう!